ドイツ、バーデン、カイザーシュトゥール。もともと火山だったこの地域は、一面葡萄畑が広がっている。標高は190~240m。当主ロナウドさんは、電気技師や列車運転手、メディア関係の仕事などを
経て、2011年に実家の農園に戻り、ワイン造りを始めた。今では、小麦を造り、野菜を造り、果実を
造り、20頭の羊を飼い、総合的な農園へと変貌している。
2013にはデメテールの認証を取得。農法は常に試行錯誤、ビオデナミの薬草、カモミール、イラク
サ、バレリアン等を駆使し、通年を通じて植物検疫的処置を施していく。
土壌は火山性土壌と肥沃なレス土壌。時に葡萄の樹勢が強すぎるエリアでは、一緒にカボチャや
野菜を植え、余分なエネルギーを吸い取らせ、その野菜は消費する。畑は健康そのもので、草はなぎ
倒すだけで地表を保湿し、のちに羊に食べさせる。新梢は切らず、自然にできる果実を大切にしてい
る。2019年からは防疫の銅と硫黄も撒かなくなった。しかしその代償として2021年は90%をペロノス
ポラ(ベト病)でやられてしまった。しかしそれでも、それ以上に葡萄が強くなれば良いとの考えのもと、今後も銅と硫黄の防疫はするつもりはないようだ。
2022年の収穫時期に一部ペロノスポラのついた葉っぱを見かけたが、広がってはおらず、収穫は上々そうであった。セラーで小さなタンクを指さし、2021年のすべての葡萄でこれしかできなかったよと、苦笑しながら話してくれた。醸造に関しても驚くことがある。マセラシオンは2週間から6週間、しかし彼のワインにそれほどの長さは感じない。理由は櫂入れをしないこと。かきまぜないことで余計な抽出をしない、酸化を促さない。そして上層の浮き上がった皮の部分はなんと捨ててしまい、中の良い部分だけをワインとする。まさに中取りである。皮の引き上げ時期は、香りを嗅いで判断する、彼にとってマセラシオンの日数はあまり意味がないとのこと。
彼の妥協をしない、真っすぐなワイン造りは品質に表れている。心を魅了するワインである。
mit Herz und Hand, mit Liebe und Verstand, zum Wohle und zur Freude gereicht
心と手で、愛と理解をもって、善と喜びの為に
(インポーター資料より)