2003年に設立されたラシッチはアブルッツォ州テーラモ県コントログエッラにあり、所有する畑が僅か3ヘクタールの小さな家族経営ワイナリー。当主エマヌエーレと弟のピエロ2人の兄弟を中心に畑作業、ワイン醸造を自ら行っています。
彼らの畑はアドリア海から10kmの場所にあり標高は約230m、海からの風が山に届き自然が豊かになると言います。葡萄栽培の仕立てはコルドーネ・スぺロナート。土壌は粘土質が主体で石灰質が少し混じっています。ブドウが力強いボディに仕上がりやすい畑です。
最初ラシッチはエノロゴにワイン醸造を委託していて、セレクション酵母を使い、So2の添加も多いワイン醸造を行っていました。
エノロゴの造るワインに特に不満は無く、エマヌエーレ自身もワイン醸造の知識がありませんでした。が、ある時、ベルギー人の宿泊客に「ラシッチのワインを飲むと頭が痛くなる」と言われました。その事をエノロゴに相談するも話を聞きいれてくれず、不信感を持ったと言います。
エマヌエーレはワインをもっと理解しなくてはいけないと感じ、勉強の為に弟のピエロと共に各地で開催されているワインイベントに足を運びました。その時にパルマのとある生産者のワインと出会い、そのナチュラルな味わいに感動を覚えたそうです。その生産者に自分達のワインの事を相談すると、So2の量を指摘されました。初めて自然派ワインの造り手からのアドバイスを受けて、エマヌエーレはエノロゴとの契約を切り、自ら醸造を行う決心をします。
この出来事の後、エマヌエーレは醸造学を必死に学び始めました。
パルマの生産者に醸造を学び、他の自然なワインの造り手のセミナーなどにも積極的に参加し、2012年から天然酵母による発酵、So2添加を抑えたワイン造りを開始します。
栽培に関してはピエモンテの生産者の門をたたき、自然な緑肥(剪定で落とした葡萄の枝)の使用などを学びます。現在はウドン粉病対策として最低限の銅と硫黄しか使用しません。
こういった畑での仕事、ナチュラルな醸造への転換によって、ラシッチのモンテプルチャーノは劇的に変化します。(インポーター資料より)