ドリアーニの北側に位置するサンフェレオーロの畑。大きく分けて標高の高いサンフェレオーロ(500m)、少し低い位置にあるアウストリ(400-420m)、どちらも400mを越える高地であり、砂質やシルト質の多いドリアーニらしさを持っている。
これが「ネッビオーロではなく、ドルチェット」といわれる所以。また畑は、モンフォルテ ダルバにも近く、部分的にモンフォルテのような強い石灰質も併せ持つ。ニコレッタにとって、畑との関わりは当然の如く自然環境を重視したもの。ビオディナミの栽培方法を徹底し、農薬や化学肥料はもちろん、銅や硫黄についても極力使用しない栽培を徹底している。また、サンフェレオーロの樹齢は50年を越えるものばかり。この樹齢の古いドルチェットは、現在のように量産化、画一化されたクローンではなく、古くよりドリアーニに残るクローン(セレクションマッサールによるもの)も多く残る。また収穫においても徹底しており、完熟とは果皮でも果実の糖度でもない。果実本来の役割ともいえる「種子の熟成」。よって収穫を決めるのは種子が完熟するかどうか。結果、収穫時期は遅くなり、樹上にて果実はしぼみ、脱水まで始まるほどの熟度に達したドルチェットの光景は、錚々たるものである。
醸造においては、ピエモンテの伝統とも呼べるクラシックかつ、時間を費やした醸造方法を徹底している。開放式の大樽にて長期間のマセレーション(果皮浸漬)、当然のことながら酵母添加や温度管理を行わず、大樽にて2年以上の熟成。そして、彼女のこだわりともいえる長期間のビン熟成。現在収穫から7年のというサイクルでリリースされるサンフェレオーロのドリアーニ「San Fereolo」。高次元まで凝縮した果実と、種子からゆっくり抽出されたタンニン。完成するまでに相応の年月が必要であることを、誰よりも考えている。こうして生まれる圧倒的な存在感を持ったドルチェット。当然ながら収穫量は恐ろしく少ない。現在8haの畑からわずか15000~20000本しか造られない。凄まじい果実の凝縮でありながら、驚くほどの繊細な香り。決して強く感じないタンニンと酸であるが、ワインを支えるに十分なバランス。これほどの質感をもったドルチェットは他に存在しない。同様にバルベーラ、ネッビオーロにおいても徹底したこだわりを持ちながらも、持ち前の好奇心とインスピレーションにより生み出される白やロゼなど、情熱と魅力を持ち合わせる素晴らしい造り手の一人。(インポーター資料より)