2018 年にグルメワイントラベラー誌によって「Young Winemaker of the Year / 最優秀若手醸造家」に選出され、冷涼な気候を有するヴィクトリア州中西部の畑から刺激的なワインを造りだす Latta Vino / ラッタの「Owen Latta / オーウェン・ラッタ」。
既にオーストラリアにおいて才能溢れる新世代の醸造家として国内で圧倒的な評価を得ているオーウェン(1984 年生まれ)。突如現れた天才のように誤解されがちな彼ですが、実際はオーストラリアのワイン業界が培ってきた歴史が複雑に絡まり、遂に生んだ傑物といえます。
彼の両親が 1983 年に植樹を始め、1994 年に設立したワイナリー「Eastern Peak」の2代目であり、文字通りぶどうとワインに囲まれて育ったというオーウェン。Eastern Peak は当時から化学的な薬品を用いず、無灌漑(近年では気候変動の影響を受け地下水を最小限で使うことがある)で栽培を続け、ワイナリーにおいても人の手による過剰な介入を避けてきたといいます。そんなオーウェンが醸造家としてデビューしたのは 1999年、実に彼が弱冠 15 歳のときのこと。彼の父親 Norman が作業中の事故で離脱してしまい、自然な流れで当時学生だった彼がヴィンテージを担当することになったのです。その後も家業を手伝いつつ、大学でワインサイエンスを修了。2006 年にワイナリーを継ぐべく戻ると、ブルゴーニュを中心としたヨーロッパで研修。その経験から自分たち一族がやってきたことが正しかったという確信を得ると、2012 年にはヴィクトリア中西部の畑からの色彩豊かなブドウ(信頼のおける農家からの買いブドウ)で、実験的な試みを多く取り入れたワインをリリースするべく「LATTA」を立ち上げると、瞬く間にオーストラリアのプロフェッショナルたちを魅了していったのです。
元々化学物質に汚染されていなかった自社畑は現在有機農法に移行しており、今後はバイオダイナミック/ビオディナミ農法への移行が進められています。醸造面においても、スキンコンタクトの白、ミネラル溢れる多品種ブレンド、ネッビオーロのロゼなど溢れんばかりのアイデアによるワインが野生酵母による醗酵、最低限の酸化防止剤以外の添加物不使用という基本アプローチの上で造られています。しかし、若くも老練なオーウェンは「すべては土壌が健全であり、そこにブドウの樹が健全に育まれることから始まる。醸造はその延長線上にあるもので、僕にとっては比較的簡単なもの」と言い切ります。だからこそ評論家のマイク・ベニーをして「若手だが、信じられないほど造り手としての経験の深さを感じる。間違いなく若手醸造家としてトップだが、近い将来オーストラリア全体のトップに立つだろう」と言わしめる凄みが宿っているのです。(インポーター資料より)